法テラス

〒160-0022 東京都新宿区新宿1-14-10 KOA新宿ビル4F tel:03-3352-2521
Copyright2007  KIMURA LAW OFFICE  All Rights Reserved.
サイトマップ

建物は大切な資産、契約の解除についてはキチンと知っておくことが大切です。
 
貸主にとって、家賃は建物という大切な資産を他人様に差し出した見返り。これを払ってもらわなければ、何のために貸したのかわかりません。家賃を払わないような借主は契約解除で出てもらい、ちゃんと払ってくれる人に貸したいということになるのが物の道理。そこで、家賃の不払いと解除についてのクイズを用意しました。
以下の答えの中から、正しいものを、ひとつ選んでください。

①家賃の滞納があっても、2~3ヶ月続かないと解除までは出来ない。
②借主から、滞納中の家賃は敷金・保証金から差引いてほしいといわれた場合には、これに応じなければならない。
③解除をするための前提として滞納分の催促をしたり、解除の通知をするには、内容証明で出さなければならない。
④借家人が解除を通知した郵便物の受け取りを拒んだり、開封しないまま送り返してきた場合でも、解除の効力は生ずる。
⑤賃貸借契約に「3ヶ月以上の滞納があった場合には、なんらの催告を要せず、貸主は直ちに解除が出来る」という約定があるときは、家賃を期日までに払い遅れた月数が3回目になったとき、家主はすぐに解除が出来る。 

ハハ、やさし過ぎましたかねえ。そうです、正解は④です。 
それでは、まず①から行ってみましょう。賃貸借契約書には、⑤で出てくるように、2ヶ月とか3ヶ月の滞納があったときには、すぐに解除できるという条項が入っているのが普通です。そのため、なんとなく、滞納は2~3ヶ月までは許される、と思い込んでいるひとがいますが、もちろんこれは間違いです。
⑤のような約定を、「無催告解除条項」と呼んでいます。これは、あくまでも、滞納家賃の催促をしないでも、即時解除が出来る特則を定めたものに過ぎません。 
解除をするための原則に戻って、滞納家賃の催促をしたうえで解除する分には、1ヶ月の滞納でも十分なのです。1ヶ月でも滞納があった場合には、相当期間(5日から7日くらいとされていますが、念のため10日ぐらい置いたほうが良いでしょう)以内に支払うように催促し、それ以内に支払わないときは解除するということで解除は十分有効です。 
では②に行きましょう。敷金・保証金は、賃料の滞納や、借主の不注意による家屋の汚染・損傷の原状回復費用などをそこから差し引くことをひとつの目的としています。しかし、滞納家賃をここから差し引くか否かは、貸主が一方的に決められることです。借主から、滞納分と相殺してくれといわれても、これを無視して、滞納家賃を請求し、支払わなければ解除することが出来るのです。 
次は③。家賃の催促をしたか否か、解除の通知があったか否かが争われることかあります。たとえば、こちらが、催促や解除を口頭で行ったとき、解除後に滞納家賃が振り込まれた、というような場合です。この種の争いを避けるために、催促や、解除を内容証明でしておくということは、一番確実な方法です。私もこれをお勧めします。しかしそれは、あくまでも証明力の強弱の問題で、普通郵便で出し、その内容をコピーで取っておいたという事例でも、解除が認められています。書留ならもっと良いでしょう。 
いよいよ正解の④です。催促や解除が効力を生ずるためには、その通知が借主に到達(到着と同じ意味です)したことが必要です。この到達というのは、こちらの出した通知の内容を相手方が認識可能な状態になったことをいいます。郵便物が着いたということは、認識可能になったということ。ですから、借主が受け取りを拒んだ、未開封で返送してきたという場合でも心配はありません。裁判例では、夫が不在だという理由で、妻が受け取りを拒んだというケースでも、到達が認められています。 
最後の⑤。①でお話した「無催告解除約款」 の解釈問題です。この種の約定の「○ヶ月以上の滞納」というのは、滞納金額が、合計で○ヶ月以上になったときを指す、というのが常識的な解釈です。ですから、期日までに滞納しなかったことが、過去に○ヶ月あったというだけでは、この約定による解除は出来ません。ただし、過去にしばしば滞納があったということが、他の理由と合わせて、貸主との信頼関係を壊したと判断され、解除理由となることはあります。参考にしてください。

前のページへ戻る 前のページへ戻る ページ先頭へ戻る ページ先頭へ戻る