法テラス

〒160-0022 東京都新宿区新宿1-14-10 KOA新宿ビル4F tel:03-3352-2521
Copyright2007  KIMURA LAW OFFICE  All Rights Reserved.
サイトマップ

契約書に立退き料に関する規定があっても必要な立退き料は支払わねばならない。そこで、大切なことは・・・?
 
賃貸借契約書の中には、あまり目立つところではないが、たいがいどこかに「立退き料」について取り決めた規定が盛り込まれている。その内容はおおよそ「賃借人は、本賃借物件の明け渡しに当たって、理由のいかんを問わず、立退き料の請求その他、これに類する請求を一切しないものとする」というようなものだ。 
これを見ると、どんな場合でも立退き料なんていうものは払われないのかと思えるのだが、実際には借主から立退き料を請求され、やむを得ず払う場合はいろいろある。 
じゃあ一体あれは何のための規定なのか、といわれそうだ。確かにそういわれても仕方がない。実はこの種の規定、あってもなくてもあんまり違いは起きない、一種の気休めのような規定なのだ。こんな規定があっても、立退き料を払わざるを得ないときはあるし、逆にこんな規定がなくても、立退き料を払う必要がないときは、必要ないのである。 
まず、仁立退き料を払う必要がないケースの代表例をあげよう。借主が賃料を滞納して、契約解除。無断転貸があって、契約解除。こんなふうに、賃借人に決定的な落ち度があって、締約が解除で終了した場合、もちろん貸主が借主に立退き料を支払う必要はない。それから、平成12年から導入された定期借家契約(更新がないことを明記した期間の定めつき契約。書面での契約が必要)の期限が来たときも同じ。立退き料は、不要だ。 
ただし、こんな場合であっても、居座られれば、裁判を起こして明け渡しさせるのに費用と手間がかかる。これを惜しんで、すんなり出てもらうために、引越しに必要な費用程度を払う貸主もある。これは、あまり正常なものではないが、一種の立退き料といえる。 
要するに、法律上支払う必要がないのに、払わされるハメになってしまったということだ。こういう、不正常な立退き料の支払いをしないで済ませるためには、契約書の中に「立退き料を請求しないこと」と何万回書くよりも、借主や保証人の選定をしっかりやることの方が大事ということになる。
次に、支払う必要がある代表的な立退き料をあげよう。 
定期借家でない限り、借家契約は期限が来ても原則として更新されることになっている。例外的に更新を拒否できるのは、貸主が自分や自分の家族で使いたいとか、建物が古くなったから建て替えたいとか、更新を打ち切るのにふさわしい正当な理由があるときに限られる。このようなケースでは、多くの場合、貸主側の正当理由を補強するために、立退き料の支払いが貸主側から提案される。裁判例でも、一定額の立退き料の支払いを条件に正当理由を認めて、更新の打ち切り、イコール明け渡しを認めたものがたくさんある。こういうのが、正常な立退き料というものだろう。 
このような立退き料の額を決める方法にもいろいろなものがあり、なかなか一筋縄ではいかないのだが、ここで活躍しているのが不動産鑑定士という専門家だ。 
都市部の裁判所では、このような立退き料がらみの建物明け渡しの裁判を起こすと、いち早く不動産鑑定士が調停委員に入っている専門部に調停にまわされ、貸主借主からいろいろの事情を聞いたり、資料を出させたりして、調停委員側から立退き料の相場を示して調停を進めていくことが多い。調停というのは、裁判所が仲立ちしての話し合いによる紛争解決の方法で、裁判所が強制的に判断を押し付けるわけではない。それでも、もしここで話がまとまれば、裁判所の手で調停調書というものが作られ、これが判決と同じ強制力を持つことになる。 
もちろん、ここで話がっかなければ調停は打ち切りになり、裁判官が不動産鑑定士の鑑定なども参考にして、どの程度の明け渡し料を条件に明け渡しを認めるか、あるいはそもそも認めないかを判断することになる。こうなると、かなりの時間と費用がかかる。しかし、ここまでいくことは多くはない。調停で話がつく確率はかなり高いのである。 
当事者同士での立退き料の交渉がもつれたときには、早めにこうした形で調停を利用していくのも味のある方法である。いざというときには、お試しあれ。
前のページへ戻る 前のページへ戻る ページ先頭へ戻る ページ先頭へ戻る