ウェブページで悪口を書かれた場合
ネットの掲示板で誹謗中傷され名誉を傷つけられた
Q 私は定年後、地域のボランティア活動に積極的に参加しているのですが、そんな私のことをインターネット上のある掲示板で、名指しで偽善者だとか、暇人とか、あることないこと悪口を書かれているのを見つけました。名誉を傷つけられた、と怒りでいっぱいです。誰が書いたかわからないのですが、被害を訴え、やめさせるにはどうしたらいいのでしょうか?(68歳・男性)
誹謗中傷の記事はプロバイダに削除を依頼
A 近頃はネット上においてホームページや掲示板、ブログなどで誰もが自由に書き込みができるようになり、たくさんの情報を容易に取得することができるようになりました。それだけに思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。匿名で書き込まれた文章による誹謗中傷やプライバシーの侵害など、書き込んだ人間の匿名性が高いだけに問題は厄介です。
相談者は掲示板に実名で偽善者だとか暇人と書かれているということですが、これはプライバシーを侵害され、名誉を傷つけられ、侮辱されていることになり、権利侵害にあたります。まずその掲示板の管理者、プロバイダー、サーバーの管理者らに問題の書き込みを削除してもらうよう求めることが先決です。
掲示板に書き込まれている内容が企業の悪事を告発するなど、公益性がある場合は別ですが、単なる誹謗中傷であったり個人のプライバシーを侵害する内容等の場合は、掲示板の管理者、プロバイダー、サーバーの管理者は、書き込みを知ったとき、これを削除する義務を負う、というのが裁判所の考え方です。
この件については「プロバイダ責任法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報に関する法律)」が制定されています。
これは被害を受けている人を守るとともに、プロバイダの責任を制限した法律でもあります。インターネットや携帯電話の掲示板の書き込みなどで、個人の権利が侵害されていると考えるのが妥当だと思われる書き込みがあった場合、被害者はプロバイダ事業者や掲示板管理者などに対して、これを削除するよう要請しますが、事業者側がこれらを削除したことについて、著作者(書き込みをした人間)からの損害賠償の責任を免れるというものです。
プロバイダは発信者に削除に同意するかを照会し、発信者が7日以内に「削除に同意しない」という申し出をしなかった場合、被害者の求めに応じて書き込みを削除してもプロバイダは発信者に対して責任を負わないことになります。
相手の情報を開示してもらい損害賠償を請求することも
このことからすれば、相談者は相手のURL等を特定した上で、名誉毀損などの被害を受けた事実をできるだけ詳細に書いた削除要求をプロバイダに出し、プロバイダはこれに基づいて発信者に削除に同意するかを照会して、発信者が同意すれば削除。発信者が同意しなくてもプロバイダが不適切な記事であると判断すれば削除、という流れになります。
さらにプロバイダ責任法4条に基づいて、発信者についての情報開示(氏名、名称、発信者の住所、電子メールアドレス、アクセス年月日、時刻など)を求めることも可能です。今回の内容から見れば、権利侵害があったことが確かですから、発信者についての情報を教えてもらい名誉棄損、信用棄損、脅迫などで損害賠償を請求することもできるでしょう。被害者としては、まず権利侵害の記事を発見したら、その記事情報を保有しているプロバイダ(コンテンツプロバイダ)に、記事を特定してアクセス記録の検証を求め、アドレス等の開示を要求していきます。さらに、そのアドレスを元に発信者がネット接続のために利用しているプロバイダ(アクセスプロバイダ)を特定して、そのアクセスプロバイダに、発信者の氏名・住所・電子メールアドレス等の開示を要求していくことになります。文章の削除や情報開示に応じてもらえない場合は、弁護士に依頼して内容証明で通知してもらうとよいでしょう。通知だけなら費用は3~5万円程度。発信者情報を元に、損害賠償・謝罪・訂正文の掲載を請求していくことができるようになります。相手方がこれらの請求に応じない場合には、弁護士に依頼をして、訴訟を提起せざるを得ないこともあります。
どこが管理している掲示板なのかわからない場合は、インターネット上に「WHO IS 検索サービス」というものがあります。妥当な理由があれば情報開示され、その掲示板を載せているプロバイダやサーバー管理者を特定することができます。
いずれにしても一番まずいのは、掲示板上で反論することです。企業などであれば、公正に調査した結果を自社のホームページなどで公式に反論するということも考えられますが、個人だと相手方をあおってしまう結果となることが多いようです。相手と同じ土俵にあがらないことが賢明です。