天気予報の「終日晴れ」を信用して大損害!
損害賠償を請求したい
Q 朝のテレビの天気予報で「終日晴れ」と言っていたので、夫婦ともに大変高価な和服を着て出かけました。ところが突然の大雨にあい、私も主人も和服をだめにしてしまいました。天気予報を信じたばっかりに、大損害です。この場合、損害賠償を請求することができるでしょうか?
「不法行為」があったかどうかが問題のポイント
A この場合、損害賠償を請求するためには、朝のテレビの天気予報の誤りが、あなた方に対する不法行為になるかどうかが問題になります。
不法行為については民法の709条に定めがあります。「故意又は過失によって、他人の権利、又は法律上保護される利益を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」ということ。
そして、あなたが損害賠償を請求したいのは、おそらく天気予報を担当したキャスターではなく、テレビ局や気象庁に対してでしょう。その場合には、民法715条の「使用者責任」が適用されるかどうかということになります。
「使用者責任」とは、人を雇って仕事をさせた人は、その雇われた人が仕事上、第三者に加えた損害について賠償する責任があるということです。
つまり今回の問題については、民法709条の不法行為と715条の使用者責任、この両方が適用できるかどうか、という問題になります。
サービスとして提供される情報に損害賠償請求できない
天気予報で終日晴れといったのに、大雨になった、というのが天気図の読み違えなどに原因がある場合、先ほどの「故意・過失」の「過失」に当てはまるのでは、と考える人もいるかもしれません。
しかし、テレビの天気予報やNTTの177の天気予報も同じですが、これらは気象庁や気象庁と提携している各機関がサービスとして、提供しているものです。それに間違いがあった場合、仮にそのことに過失があったとしても、先ほどの「他人の権利または法律上保護される利益を侵害した」場合にはあたりません。
天気というのは状況が刻々と変わるもので、100パーセントあたる、ということはありません。それをできる限り情報を集めて、市民に対してサービスを提供しているわけで、その内容に間違いがあったからといって、他人の権利や法律上保護される利益を侵害したことにはならず、損害賠償請求の対象にはならないのです。
同様のケースに、競馬番組で解説者が、「今日はこの馬がくると思う」と言ったので、それを信用して馬券を買ったら、外れて大損害した。あるいは雑誌で経済アナリストが、「この株が上がる」と予測していたのを信用して株を買ったら、上がるどころか下がってしまった、というようなことがありえます。いずれも専門家の予想、予測はあくまでも参考であって、最終的には自己判断で決めること。天気予報もこれと同じことです。
大切な和服を雨でダメにしてしまいたくないのなら、天気予報が晴れであったとしても、やはり傘を持っていくしかないでしょう。
参考までに付け加えると、台風の進路予測を間違えて、とんでもないところに台風が行ってしまった場合、台風に対する備えが十分でなかったため、大きな被害が出てしまったというケースがおこりえます。この場合でも、やはり損害賠償請求をすることはできないと考えられます。自然現象について、完全に予測することは不可能です。従って不法行為は成立しないのです。