借家人に立ち退いてもらいたい
息子が結婚するので借家人に出て行ってもらい息子夫婦を住まわせたい
Q 今、人に家を貸していますが、今度、息子が結婚するので、借家人に出て行ってもらい、息子夫婦を住まわせようと思っています。可能でしょうか。トラブルを回避するには、どんなことに気をつければいいでしょうか。(55歳 男性)
A 貸家には2つの種類があり、“定期借家”といわれるものと“普通借家”があります。“定期借家”は、書面で期間を定めて賃貸借をする、というもので、公正証書又は契約書に定期借家であるという特約が入ったものです。つまり2年なり3年なり、一定の時期が来たらそれ以降は更新できませんよ、という内容があらかじめ明記されているのです。
この場合は、期間満了の1年前から6ヶ月前の間に、期間が来たら契約が終わることを通知しなければなりませんが、借家人に出て行ってもらうのはさほど難しくはありません。
しかしこの“定期借家”が認められるようになったのは平成4年8月以降。これ以降に“定期借家”として契約したもの。にしか適用されません
普通借家なら立ち退き料が必要なことも
それ以前からずっと続いてきた借家契約や、更新可能な“普通借家”の場合は、出てもらうためには「次の更新はしません」ということを更新期限の1年前から6ヶ月前までに通知することが必要です。
更新期日に定めのない借家契約の場合は、6ヶ月以上の猶予期間を定めて、解約の通知を出すようにします。どちらの場合も、期間がきたら、すぐに明け渡しの請求をすることが必要です。
ただし、更新をしないという貸主の意見がすんなり通るかどうかは微妙です。借家人が「出たくない」と主張した場合は調停や裁判になります。そうしたトラブルを避けるためには、借主の事情もよく聞いてあげることが大切です。
借主がどうしてもそこに住んでいたい事情があるか、引っ越すと家賃が上がり生活にひびくか、引越しにお金がかかる、など相手の事情もよく聞いて、その事情を克服するために家主側も譲歩する必要があります。
例えば、立ち退き料をある程度支払う。引越しまでに猶予期間を設ける、などです。
裁判所の調停委員にゆだねる
それでも折り合わない場合は調停か裁判になりますが、このようなケースでは調停委員会に回されるのがほとんどです。
ここで問題になるのは「更新をしない」という貸主の通知に「正当の事由」があるかどうかです。
「正当の事由」には、
●ある事情で自分がその家を使わなければいけなくなった
●建物が老朽化して、建替えないと危ない
などのケースが当てはまりますが、あなたのように単に「息子夫婦を住まわせたい」ということでは正当の事由として認められるかどうかは微妙です。
何故、息子夫婦をそこに住まわせる必要があるのか。例えば家主が高齢化して近所にある、その貸家に、息子夫婦に住んでもらって、困ったときには助けてもらいたい、というような場合であれば認められる可能性が強まります。
子供が住みたいだけでは事由にかけるが、その分立ち退き料などのお金をつければ、借主のマイナスを補えるので正当な事由が成り立つ場合もあります。
たいがいは、そうして調停委員を間に話し合いお互いに歩み寄ったところで決着をつけることになりますが、歩み寄りができなければ、最終的には裁判での決着となります。
いずれにしても、家主だからといって頭ごなしに「出て行ってください」ではダメです。借家人の権利は強く守られています。相手の立場を考え、譲歩することも必要です。今は借家もタブ付いているので、ある程度のお金をもらって引っ越せるのなら、相手もそのほうがいいと考えて、解決できるケースが多いのではないでしょうか。