子供のいない夫婦の財産管理について
●元気なうちに今後の財産管理をどうするか決めたい
Q
私たち夫婦には子供がいません。夫婦ともども今は元気に過ごしていますが、二人が心身ともに元気なうちに、今後の財産管理をどのようにするか決めておきたいと思っています。年齢を積み重ねるとともに、病気になったり、どちらか1人が残されたり、また頭のほうも判断能力が欠けるようになるかもしれません。その時、財産をどのように管理し、使用していくか、今のうちに決めておきたいのです。信用できる人や機関に託す方法はありますか?
A
今は元気に過ごしていらっしゃる、ということですが、年を重ねていくと誰でも段々判断能力というのは衰えていくものです。
妙な儲け話なんか持ってこられて、財産を巻き上げられた、というような事件で被害にあっている方を見ると、お元気なんだけど高齢者というケースが多いようです。そうした意味でも、心身ともに元気なうちに、財産の管理についてきちんと考えるのはとてもよいことだと思います。
元気なうちに契約する任意後見制度
高齢者が十分な判断能力のあるうちに、あらかじめ任意後見人(代理人)を契約によって決め、財産の管理などを依頼しておく、任意後見制度というものがあります。
これは今は元気で何でも自分で決められるけど、将来認知症になってしまうかも・・・、という不安を感じている方が、将来を見越して、事前に信頼できる人(親戚、友人、弁護士、司法書士など)と後見人契約を締結し、公証人役場で公正証書を作成する制度。そして認知症の症状が見られるようになったときに、家庭裁判所に申し立てをして、任意後見監督人の選任をしてもらうといったものです。
任意後見監督人は本人が選んだ任意後見人がきちんと仕事をしているかチェックします。そして任意後見人は任意後見契約で定められた仕事(財産の管理など)を行います。
ただ子供のいない夫婦にとって、高齢でかつ同居する人がいない場合、認知症になったと判断するタイミングを見極めるのが難しい、というデメリットもあります。
なお、任意後見契約においては任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を委任するかは話し合いで自由に決めることができます。ただし結婚、離婚、養子縁組など専属的な権利については任意後見契約に盛り込むことはできません。
財産の名義を移して信託するという方法
財産の管理を信用できる人に信託する、という選択もあります。これは財産の名義を管理してくれる人や会社(金融機関)に移して、その管理者の判断に従ってお金を受け取って生活していく、というやり方です。
今まで日本ではこうしたケースは少ないのですが、今年9月の末から「信託法」が以前より使いやすく改正されました。今後は信託を専門にやる会社もたくさん出てくるようになるでしょう。
一般的に信託業務というのは銀行などの金融機関が行っていますが、「信託業法」という新しい法律が施行されると「管理型信託」など、いろんな形態のものが出てくるようになります。金融機関のように不特定多数の人を相手にするものだけでなく、特定の人のために財産を管理、運用し、必要に応じて処分することができるようになり、そういうことをやっていく法人、個人も増えてくると思います。信頼できる専門家に依頼する。または気に入った専門家を集めて法人を立ち上げる、ということも可能なのです。
信託会社には、自分たちが元気な間はせいぜい使わせてもらい、認知症が出てきたら介護にお金を使ってもらう。死後はお葬式の費用に。それでも残ったら自分の指定する人にあげる、あるいは寄付する・・・そういったことをあらかじめ取り決めておきます。
高齢者のみの世帯の場合は、定期的に信託会社の担当者に足を運んでもらい会うことを取り決めておくのもよいでしょう。自分をよく見てもらい、判断能力が欠けてきた、認知症になってきた、。などおかしいようだったら、それに応じていろいろ対策をとってもらうように契約しておくと安心です。