これって霊感商法?
高額な印鑑を買う契約を解約したい
Q
自宅の庭で植木の手入れをしていると、近所に住むという女性が近づいてきて「お宅の表札はいい表札ですね。でも残念なことに字画が悪い」とつぶやくように言ったのです。気になって聞くと、何とかしないと子供や孫に不幸が及ぶことになるから、運勢を変えないとダメだという。名前を変えるのが一番よいが、それは難しいのでスピリチュアルな能力のある人が彫る印鑑で字画を変えればよいと教えられた。30万円かかると言われたが、それで子供や孫に不幸が及ばないのであれば安いものだと納得して印鑑をオーダー。手付けのお金を1万円だけ払い、残りは来月、印鑑が届けられたときに払うことにしました。ところが10日ほどして娘に話をしたら強く反対されたので、先方に解約したいといったところ、クーリングオフ期間は過ぎているからと断られた。解約できないものなのでしょうか?(65歳・女性)
A
これは一種の霊感商法にあたると思います。まずクーリングオフについて説明しますと、訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合、「特定商取引法」で指定された商品・サービス・権利については、クーリングオフの記載のある契約書面を受け取った日から起算して8日以内であれば無条件で契約解除や申込の撤回ができる制度です。
契約書面にクーリングオフの記載があるかどうか
今回の場合は訪問販売にあたります。契約してから10日たっているということですが、契約時にクーリングオフの期間などを記載したきちんとした取引事項説明書を受け取っているかどうかが問題になります。もし受け取っていない場合は、今からでもクーリングオフをすることができます。そのときは契約の日時、解約する商品、既に支払った1万円を返して欲しいという内容を記し、販売会社へ書面で通知します。ハガキを郵便局で配達記録郵便(210円必要)にして出すか、内容証明郵便で出せばよいでしょう。
消費者契約法の取消し権で、解約する通知を出す
きちんとした取引事項説明書を受け取っていて、なおかつクーリングオフ期間を過ぎている場合は、解約するためには何らかの理由づけが必要になります。詐欺だったことを理由にすればいいと思うかもしれませんが、それには相手が故意にだましたということを証明しなければなりません。しかしあなたに印鑑を勧めた人が、スピリチュアルな能力を持った人が作った印鑑で、運勢が好転すると本気で思っていたと言われれば、故意にうそをついたということを証明することは難しいでしょう。
ですから今回のケースでは消費者契約法による取消し権を行使することをおすすめします。
消費者契約法では、事業者が勧誘の際、確実ではない情報をあたかも確実なものと誤認させる判断を消費者に提供し、それに基づいて契約を結んだ場合、6ヶ月以内は契約を取り消すことができます。これは相手が故意にだましたのであろうと、自分も信じ込んで売りつけたのであろうと関係ありません。重要事実について、虚偽の情報を与えて契約をしたということです。
あなたが30万円もする印鑑を買おうと思った一番の動機は、霊的な能力を持つ人が彫った印鑑を買えば、子供や孫に災いが及ばない、ということですね。そんなことは科学的に証明できないし、うそだ、ということで消費者契約法に基づいて解約するのです。
消費者契約法で取消しをする場合、内容証明郵便などで事業者へ契約を取り消す旨の通知を送り、それが相手に到達した時点で取り消しとなります。販売会社はもう印鑑を彫ってしまった、とかいろいろ言うかもしれませんが消費者契約法においては関係ありません。通知書の内容は下記を参考に。
『○年○月○日、貴社との間で印鑑の売買契約を締結しましたが、契約の勧誘の際、販売員の○○より、科学的な根拠のないうそを教えられて、印鑑をかわされたので、消費者契約法に基づき取り消します。』
この印鑑の支払いについて信販契約をしている場合は、信販会社にも消費者契約法により取消ししたことを書留郵便で送り(コピーは保存)、支払い拒否を通知します。
もしそれでも解決できない場合は、自治体の消費者センターに相談を。こうした印鑑の販売は、古典的な商法であるとともに、スピリチュアルブームということもあり現代的な商法でもあります。消費者センターには霊感商法の苦情データーも豊富にあるので、どうすれば解約しやすい可など、適切なノウハウを教えてくれると思います。