家を建てられない土地を買わされた
Q.
退職金を有利に活用したいと考えていたところ、土地紹介のチラシが目に止まりました。今後大規模な開発が確実視されている土地で、大幅な値上がりが期待できるということでした。
購入を決意し、土地代金を振り込み、権利証が送られてきました。その後、自分の別荘でも建てようかと思い現地を見に行ったら、崖の斜面の土地で、家が建たないことが判明しました。
電気も水道も来ておらず、これらを引くとなるとかなりのお金がかかるようです。私は不動産業者に騙されたのでしょうか?
A.
・詐欺罪は成立するが代金が戻る可能性は少ない
不動産の売買は、本来とても重要な取り引きです。相談者は当初、そこに別荘を建てるつもりはなかったようですが、それでもやはり現地を確認するということは鉄則だったといえるでしょう。
すでに契約し代金を支払ってしまったということですが、今回の事案は明らかに詐欺に当たります。どういう点が詐欺かというと、チラシに書いてある通りの”大規模な土地開発が確実視されている”ような土地だというのであれば、家も建てられないような崖の傾斜地ということはあり得ないからです。重要な事実について虚偽の告知があったということ。これはおそらく「故意」であったと思われるので、立派に詐欺罪が成立するでしょう。
しかし相談者の一番気になるところは、詐欺罪が成立するか否かでははく、支払った土地代金が返ってくるかどうか、というところにあると思います。残念ながらこれはなかなか難しいのが現実です。
支払ったお金を取り戻すためには、まず契約を解除し、土地代金の返還を請求します。今回の件は明らかに詐欺ですので、民法上契約を取り消すことが可能です。また消費者契約法第4条の「消費者取消権」によっても、だまされたことが分かってから6ヶ月間は契約の取り消しができます。
・被害者の会に入って共同告訴する方法もある
問題は、このような詐欺を働く会社は、土地の売買を終えるとさっさと解散、そしてまた別の名前で似たような詐欺を働くケースが多く、その会社を特定するのが容易ではありません。内容証明で契約解除の意思を伝えようとしても届かないことが多いのです。
またお金をどこかに隠してしまう、使ってしまっている場合も多く、民事裁判を起こしてもお金を取り戻すのは難しいのが現実です。
もちろん相手方が特定できて、会社に資産があれば取り戻せるので可能性はゼロではありませんが、そういうケースは本当に稀です。
そうなると刑事告訴して警察に捜査してもらい、相手に「代金を返還しないと重い罪になるぞ」と暗黙のプレッシャーをかけ、被害の全額あるいは一部を返金してもらう、という方向でいくしかありません。ただこれも、警察がどこまで捜査し相手を見つけ出してくれるか、によるところが大きいと思われます。
こうした不動産詐欺の場合は、他にも被害者の方が多く存在する可能性があります。相談者が土地を購入した不動産会社の所在地の所轄の警察、またはその都道府県の消費者生活センターに問い合わせても被害の現状がわかるでしょう。被害が集中している警察署の方で告訴するのが効果的だといえます。
また被害の規模が大きければ、消費者被害を取り扱っている弁護士がいるケースもあります。そういう会に入って共同告訴するのも一つの方法です。
・土地を購入するときは公図を取り寄せ現地を確認する
昨今はインターネットで月の土地を販売するビジネスもある時代ですが、別荘地を買うのなら業者がまいたチラシだけで信用しては絶対にいけません。土地の公図(登記書)を法務局で入手して現地を確認するのは必須条件です。
大規模開発が確実視されている土地ならば、現地の役所に行けば、電機や水道が通っているか、あるいは今後通る見込みがあるかどうかなども含めて、ある程度情報が入るはずです。自分で足を運び、確認するのが難しいのであれば、知り合いの不動産屋さんか、土地家屋調査士に相談してしっかり調査することをおすすめします。
近頃は余暇を充実するための”田舎暮らしのススメ”などといった別荘地を売る詐欺まがいの商売をする会社も多くあります。利殖が目的であれ実際に別荘を建てるためであれ、土地を購入するときは良く調べて、信頼できる会社と取り引きすることが大切です。