遺言状の書き方
Q.
私は60歳の男性で、妻と20代と30代の息子が二人います。まだ元気で仕事もバリバリしていますが、最近元気なうちに遺言状を書いておいたほうがいいのでは、と考えるようになりました。
人間いつどうなるかわからないし、妻や息子たちが後でもめないようにしておくためには、遺言状を書いておくのが大切なことだとつくづく思います。ただ遺言状というのは自分の思いを書いておくだけで効力があるものなのでしょうか? 法律的に認められる書き方や預け方があるのでしたら教えてください。
A.
やるせなくなるような不毛な争いに発展するのが親族間のもめごとです。気力も体力もある元気なときにこそ遺言状を書き、意向をはっきりさせておくことはおすすめです。
・不動産の場合は地番や面積を 預貯金なら口座番号を明記
遺言状に書いて法的効力を持つ事柄は、財産の分け方や誰にお墓を守って欲しいかを指定すること、認知の問題などです。いずれも何を誰に、どうするかハッキリ分かるように書くことが大切です。
財産の分け方について書く場合、不動産なら登記簿謄本をとり、地番、家屋番号、面積などを書いた上でそれを誰に相続させるか、どういうふうに分けるかを書きます。
預貯金や有価証券の場合も口座番号を明記するなど、特定できるようにすることが必要です。
・遺言状は3種類 それぞれに長所・短所が
普通の遺言には
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言
の3種類があります。それぞれ一長一短があるので、どれがよいかは各自で判断しましょう。
①の自筆証書遺言(民法968条)とは、遺言する人が、遺言書の全文、日付、氏名をすべて自分で手書きし、押印して作成するもの。立会人も証人も必要なく、「お手軽度」「こっそり度」では一番ですが、本人の知識不足からくる手違いにより遺言の効力が争われたり、直筆かどうかをめぐって争われたりしてもめると、解決が難しいという一面もあります。また、言葉を付け加えたり変更する場合は、その変更した箇所を指示して「何行目何字加入」などと変更の内容を附記し、そのつど署名押印しなければなりません。
②の公正証書遺言(民法969条)とは、利害関係のない2人以上の証人と公証人役場へ行き、遺言者が述べる遺言の内容を公証人に文章にしてもらい作成する遺言書です。遺言者は印鑑証明書と実印、場合によっては登記簿謄本を用意。証人は認印を持参します。
公証人という専門家が作成してくれるので確実度が高いのですが、遺言内容を証人の前で話さなければならないという点、費用がかかるという点などが問題です。作成費用は遺産が5000万円のときに29000円、一億円のときに43000円の手数料がかかります(相続人が複数いる場合は、この金額をもとに手数料を算定)。
・お手軽で確実度も高い「秘密証書遺言」
①自筆証書の「お手軽度」「こっそり度」と②公正証書遺言の「確実度」を足して割った感じなのが③の「秘密証書遺言」です。
自分で書いた遺言状(自筆、代書、ワープロなどでも可)に署名、押印したうえ、これを封筒に入れ、封筒のとじ目に同じ印鑑で封印します。その上でその遺言状と印鑑、印鑑証明を持ち、利害関係のない第三者2名の証人を伴って、公証役場に行き手続きをします。立会いが必要ですが、誰にも遺言状の中を見せる必要はありません。費用は一回、11000円です。
公証役場で手続きをする場合、病気の場合は、公証人の出張が頼めます。出張手当は時間により通常1~2万円。また、公証役場では適当な立会証人がいない人のために、立会証人を紹介するシステムもあります。なお公正証書遺言をした場合には、公証人役場の遺言検索システムに登録され、遺族が遺言書を探し出すのが簡単、というメリットもあります。